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プレイリスト「好きな10曲(90年代版)」

 自己紹介も兼ねて、好きな曲をひたすら挙げていくというプレイリストを作りました。

10曲縛りだとあまりにもカオスになってしまうので、年代別で。

90年代、00年代、10年代と作りました。今回は90年代をご紹介します。

 

【プレイリスト作成時のルール】

1. プレイリストはCDアルバムの一般的な曲数、10曲とする。

2. 同一アーティストの曲を複数入れない。

3. Spotifyに存在する曲のみを使用。

 

90年代の曲なので、めっちゃ好きなのに3.のせいで入れられなかったものもあります。

SOPHIAとかtohkoとか。

もはや、彼らの曲を聴く術は無いのか……

 

何も考えずに入れた結果、最初は25曲とかになってしまったので、削られたものもいっぱいあります。

今回のプレイリストの詳細な説明含め、時期が来たら、全てをご紹介したいところ。

 

 

 

1. 「wanna Be A Dreammaker」globe

小室哲哉のメインユニットだったglobe。

カラオケでは何かと邪魔者扱いされるMARCですが、実は、globeの本領は彼の見せ場が多い曲にこそ発揮されるのです。

その凄さが表出するのは、globeがトランスとかユーロビートへと完全に舵を切った2002年の「Lights」辺りからなのですが、その辺りの話をしても誰も喜ばないのでやめておきます。

この時期はメロディアスな小室とカッコいい小室がカオスに混じりあっていて、完成度としては歪ながらも、何とも言えないパワーを感じます。

この曲なんて、音としてはスカスカなんだけど。だけど何故か夢に出てきそうな迫力がある。何というか、忘れられない曲。

 

この曲を歌いたいのであれば、MARC役の人を探してからにしましょう。

 

 

2. 「花葬」L'arc-en-Ciel

この曲の『イントロ - 1サビ - ギターソロ』の流れはJ-Pop史に残ります。

何だこの美しさは。

というか、曲が全編にわたって美しい。

細かいギターフレーズさえも、全て耳に残ります。サビ直前で一瞬だけD#を挟むところが滅茶苦茶に好きです。

だけど、この曲の美しさを支えているのがyukihiroさんのしなやかなドラムであることは疑いようもありません。これもまた、全編にわたって凄まじいフレーズがばんばん出てきます。

じつはドラム曲。

ラルクにはそういった曲が多くあります。

yukihiroさんに感謝しましょう。

 

 

3. 「BRAVE STORY」TRF

当時のことをよく知るリスナーは、「trfは小文字しかありえない。大文字TRFは終わった存在だ」と言うのですが。

実は大文字TRF、結構好きです。

高速ダンスナンバーを連発していた当時に比べ、大文字になってからの彼らは音楽の幅も広がり、何というか、大人になりました。

この曲はその最たるもので、情熱を感じるミディアムナンバー。yu-kiの声質は、圧倒的にこの曲調でよく映えます。

 

 

4. 「Movin'on without you」宇多田ヒカル

なんと、この曲も90年代。1999年リリースです。

個人的には、コテコテのR&Bといった趣の「Automatic」よりもこっちのほうが断然好き。

J-Popの文脈でR&Bの地平を先に踏んでいたのはMisiaだったのですが、ロックとの融合は新しかった。新しい時代が来たなーと。

そして多分、他の人がこの曲を歌おうとしても上手くいかない気がするのです。

そこはうまく説明できないのですが……それがアーティストの持つ味なのかも。

 

 

5. 「サヨナラ」岡本真夜

もしかすると、一般的には「TOMORROWの人」というイメージしか無いのかもしれませんが、

キャリアの中で最高の名曲は、多分、これです。

歌詞、サウンドともに、別れの瞬間を鮮烈に切り取っていて、だけど、歌い方は至ってフラット。まるで過去の記憶を懐かしむような。

そのバランス感覚が美しいのです。痛いけれども客観的に聴ける曲だから、多分安心して聴ける。

歌い方にまで情念がこもっていたら、多分、中島みゆきになってしまう。

 

あと、岡本真夜さんの声、かなり好きです。

 

 

6. 「そのスピードで」The Brilliant Green

ミディアムテンポのギターロック。

これも川瀬智子さんにしか歌えない曲です。

光のスピードで

気まぐれに星を目指して

とありますが、どう考えても光のスピードなんて出てなさそうな脱力具合が素敵。

 

サウンドはきらきらしているけれど、ボーカルはゆらゆらしている。

童話みたいな手触りの世界観で、それがすごく好き。

 

 

7. 「LOVE AFFAIR ~秘密のデート」

倫理的にはどうなのって感じの不倫の歌ですが、

すっごい輝いた世界観。世界がきらきらしているのが手に取るように分かる。

 

不倫はともかくとして、子供ながらに、こういう夜が過ごせたら楽しいだろうなっていう希望はありました。

横須賀で生まれ育った子供にとって、手の届く横浜にある、手の届かない大人の世界。

大人になりたいってモチベーションの半分くらいは、この曲がくれたように記憶しています。

実際、大人の世界って、汚れていてろくなものではないけれど、こんなきらきらした時間を過ごせるなら、まぁ確かに、悪いばかりではない。

 

シーガーディアンには行ったことがないのですが、

そこから徒歩数分の場所にある、マリンタワーのバーには行ったことがあります。良い雰囲気の、お酒が美味しいバーでした。

アルコールに弱くて死にそうになりましたけれど。

 

 

8. 「スピカ」スピッツ

夏真っただ中みたいなサウンドも素晴らしいし、

全体に名フレーズだらけの歌詞も好きです。

 

幸せは途切れながらも続くのです

 

この短いフレーズは、多分、名曲・名詞だらけのスピッツの中でも最高のフレーズ。

何というか、救いに満ちている。

 

夏になると聴きたくなる曲っていくつもあるのですが、その中でも一番ですね。

全身で太陽の暑さを感じながら、まるで白昼夢みたいな世界。

 

 

9. 「カブトムシ」aiko

このタイトルの意味については、あまり深く調べず、

消えずに残ってしまった気持ちを『夏が終わっても生き残ってしまったカブトムシ』に例えた曲だと認識しておくのが良いかと思います。

 

90年代のベストナンバーを1曲挙げろと言われたら、多少迷った後でこれを選びます。

それくらい好きな曲。

何よりも、aikoの歌い方が素晴らしいのです。決して声を張らずに、囁くような、呟くような歌い方。

aiko独特の、半音の上げ下げを巧く使ったメロディーと相まって、もやもやした、迷いの晴れない心の動きを美しく表しています。

 

 

10. 「SWEET 19 BLUES安室奈美恵

小室プロデュース最大の名曲、だと思っています。

安室奈美恵の力と小室哲哉の力、それが真正面からぶつかった結果として生まれた、ひとつの奇跡みたいな曲。

当時のJ-Popでは珍しかった、R&B含めたブラックミュージックの影響を多分に受けた曲で。

これを作りきったことで、シンガーとしての安室奈美恵が花開いた感があります。

そしてまた、J-PopがR&Bを受け入れる土壌も……。それが回りまわって小室哲哉を追い込んでいったのは皮肉な話ですけれど。

 

この曲の最大の見せ場は、Cメロ以降の転調の繰り返し。

転調マニアの小室哲哉の本領発揮といった感じですが……

この曲の場合、ただ無意味に歌いづらくしているわけではなくて、安室奈美恵の歌い方と相まって、19歳という微妙な年齢の感情の揺れ動きを見事に表現しているのです。

 

等身大の会話、もしくは内省的な呟きといった1サビから、

転調ごとに歌い方がどんどん力強くなり、

最後のサビでは、自分は強いのだと誰かに言い聞かせるようなフォルテッシモ。だけどよくよく聞いてみるとどことなく感情の揺らぎみたいなものが見える。

内省的で力強い、そして世界を相手に渡り合い始める強さを持ち、それでも捨てられないものがある。

この時期の感情をこんなに上手に描いた曲は、他に中々無いと思うのです。

才能がぶつかり合って磨かれた、奇跡みたいな作品。

 

 

11. 「Everybody's Jealous -Mixture with Canon in D-」

勢い余って一曲多く入れてしまいました。でも、90年代という時代の中で、これは地味に重要な曲だと思います。

 

TRUE Kiss DESTiNATiONは、小室哲哉DOSのASAMIのユニット。元嫁とのユニットですね。

小室哲哉プロデュース(多分)唯一のR&Bユニットでした。

一般的に、小室哲哉は90年代後半のビジュアル系台頭に押されて徐々に勢いをなくし、宇多田ヒカルの登場、R&Bの席巻によって完全に居場所を失ったとされているのですが、

実は、R&Bもやっていたんですね。

Sportifyを入れて曲を聴いていただければわかると思うのですが、この曲がまた、とんでもないクオリティ。

過去の有名曲のサンプリング、打ち込みによる温度の低いリズム。R&Bの作法を一通りなぞりながら、一聴して小室哲哉と分かる音作り。

その上で、多分本場の人たちに聴かせても恥ずかしくない出来という。

 

小室哲哉には、時代を読む力も音楽を作る力もあった。

だけど、異常に飽きっぽかったんだな。

もう少し、腰を据えてこの方向性を突き詰めていたら。

多分、日本の音楽史はもう少し変わっていたのだと思います。

 

この曲は、日本の音楽史に刻まれた一片の灯りみたいなもので。時代に埋もれながらも、その光はとても美しい。

 

なお、この曲にはシングルバージョンもあるのですが、

圧倒的に、このアルバムバージョンのほうが良いです。

これもまた、小室哲哉がほとんど見せなかったやる気。

この熱量が、本当にもう少し続いていれば……