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夏の夜に聴きたい曲(1) クロノスタシス

枕草子にも「夏は夜」と書かれているように、夏の美しさは夜に宿ります。

夏祭りとか花火とか、きらびやかなイベントも多いし。

まだ梅雨は明ける気配もないのですが、夏の美しい夜を待ちながら音楽を聴きましょう。

 

 

 

きのこ帝国「クロノスタシス

 

 

夜にただ散歩をするだけでも、ドラマチックな時間になる。

それは夏に満ち溢れたエネルギーのせいかもしれません。

確かに、夜の散歩って良いよね。涼しい風を浴びてみたり、冷たいビールを飲んでみたり。

 

"クロノスタシス"って知ってる?

知らないときみが言う

時計の針が止まって見える

現象のことだよ

 

夜の散歩が楽しいのは、それ自体が特別な時間だから。

特別な誰かと一緒だったり、

今しかない時間を楽しんだり、

特別な夜だったり。

 

そんな夜に。

もちろん、時計の針が止まるはずなんてない。

むしろこの台詞は、「時計の針が止まってほしい」っていう願望を言葉にしたものです。

この大切な時間はいつか終わってしまうけれど、だけどもう少しだけは。

 

 

ところで、もう少し深読みすると、この歌詞は違った様相を見せ始めたりします。

 

歩く速度が違うから

BPM83に合わせて

誰も知らない場所に行きたい

誰も知らない秘密を知りたい

ゆらゆら揺れて夢のようで

ゆらゆら揺れてどうかしてる

それ以上何も言わないで

 

ふわふわしたボーカルとは違って、

歌詞からは、幸せな恋人同士の時間っていう様子が見えてこない。

『一緒にいるべきではないのに、一緒にいるとこんなに楽しい』

という後ろめたさ。

そして、ビールを買いに行く夜の散歩。

 

そこまで考えると、

今夜だけ忘れてよ 家まで帰る道

という歌詞が、何か違う意味に聞こえてきます。

 

最初から長続きしないことが分かっている関係。

だからこそ、

 

時間が止まればいいね。

 

この歌詞の重みが伝わります。

夏の夜の夢。