夏の夜に聴きたい曲(14) Anytime smokin' cigarette
globe「Anytime smokin' cigarette」
突発的にやる気を見せる小室哲哉の作詞。
安定感は無いけれど、こういったダウナーな曲を書かせると物凄いものが出来上がる。
小室哲哉の詞の中でも1,2を争う出来の歌詞ではないでしょうか。
ずぅーっと走り続けてるうちに
疲れがたまってあっという間に
病院送りになる前に
Cigaretteでも吸おうかな
こんな歌詞、社会で上手くやれている人には絶対に書けないと思う。
ある程度内省的で、外界から打たれまくって、傷だらけでも立とうとする人じゃないと。
この曲はある意味で、小室哲哉の叫びみたいなものかもしれない。
叫び。
この曲の本質は叫びです。
Aメロ→Bメロ→サビ→MARC を繰り返すシンプルな構造ですが、繰り返すたびに3人の感情がどんどん高まっていくのが分かります。
Keikoは鬼のようなハイトーンボイスにシフトしていくし、
MARCも前に出てきて叫んでるし、
三者三様の叫びが渾然一体となったラストには圧倒されます。
音源は打ち込みですが、本物のバンドサウンドになったライブバージョンはさらに凄い。
確かに、Keikoというシンガーは唯一無二の才能を持っていたのだと実感します。
小室哲哉の本質は、こういう内省的な曲にこそあるのかもしれない。
色々なことを言われることの多い彼ですが、
このような退廃的で心に刺さる曲って、決してどこかからの借り物で出来るわけではなくて。
その人の本質が多分に含まれていると思うのです。
だから、こんな曲を書ける人の凄さ、あるいは通り抜けてきた歴史みたいなものには敬意を示したいと思うんですよね。
有り体に言ってしまえば、
これが書ける人間が悪い人であるわけがない。
だからもう少し、彼の描く世界が見てみたい。