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夏の夜に聴きたい曲(20) First impression

野猿 feat. CA「First impression」

 

 

野猿は、「とんねるずのみなさんのおかげでした」から派生したユニット。

とんねるずと番組のスタッフが一緒に歌って踊るグループです。

 

私は番組を見たことはほとんど無いのですが、それでも野猿は知っています。

それほどまでに勢いのある、力を持った番組だったんですね。何よりもとんねるずの凄さ。

 

この曲のメインボーカルであるCAさんは一瞬しか在籍していなかったのですが、とんでもない歌唱力を持っていました。

独特の色気を持ったR&B向きの声で、初期の宇多田ヒカルに似た声。

どうみても一般人の歌じゃない…

この人が入ることで、野猿は突然、本気のR&Bグループになりました。

 

作詞は秋元康。っていうかこの人は何年生きてるんだ。

秋元康も多作故か、歌詞のやる気のなさを指摘されることが多いのですけれど、

本質的にこの人の作詞は凄いです。

それはいずれ時間を取って検証することにして…

 

愛しさの風が過ぎていった

君と僕の未来へ

ここの部分だけでも、そのセンスの一端が感じられます。

熱帯夜に吹き抜ける風の涼しさ。

 

この「First impression」は、初めて出会った瞬間の衝撃を描いた曲。

まぁ確かに秋元康お得意のパターン、彼ならば何も考えずに自動筆記出来るはずの歌詞なのですが、

この曲に限っては、初めて世に出てきたCAという凄まじいボーカリストの衝撃と相まって、物凄い実感を持って胸に迫ってきます。

 

秋元康はそういうパッケージングが上手いよね。作詞家というよりもプロデューサー。

 

この歌詞は、初めての衝撃をもって出会った人との未来を夢見る、そんな歌詞なのですけれど。

CAさん自身は野猿の活動に乗り気ではなく、すぐに脱退してしまいます。

この曲がトータルパッケージならば、なんと美味しいオチなのでしょう。

 

 

野猿は、とんねるずと裏方が同じ舞台に立ってパフォーマンスをするというコンセプトで。

CAさんに至っては、圧倒的な歌唱力を持ったメインボーカルとしてとんねるずを後ろに従えて歌うことになっていたのですけれど。

野猿解散後は、とんねるずの出す曲も「みなさんのおかげでした」もあまりパッとせず。

(ネタみたいな矢島美容室はありましたが…)

最終的に表舞台に残ったのは、本質的に裏方である作詞家の秋元康だけという事態。

大ボスはそこにいたのか。

 

何か孫悟空みたいで、含蓄深い話。