夏の日に聴きたい曲(5) スピカ
スピッツ「スピカ」
スピッツの夏の曲には名曲が多いんですよね。
「夏の魔物」とか「渚」とか「みなと」とか。そんな数あるスピッツの夏曲の中でも圧倒的なNo.1だと思っているのが「スピカ」です。
ちょっと信じ難かったのですが、この曲って、一般的な認知度や人気はそれほどでもなかったようで。マジか。
この曲は、スピッツの超有名曲「楓」のカップリングではありません。
れっきとした両A面シングル「楓 / スピカ」の一曲です。
両A面です。
公式にカップリングベストの「花鳥風月」に入れられているのは内緒です。
「スピカ」というタイトルですが、夜っぽさは全くありません。
(歌詞の一部に夜は出てきますが…)
真夏の一番暑い時間を思わせる演奏です。
照りつける日差しと、吹き抜ける風。
この曲はドラムを味わう曲です。
スピッツのドラム曲、好きなんですよね。「メモリーズ・カスタム」とか「放浪カモメはどこまでも」とか。
崎山さんのドラムが歌っているようで、草野さんとのツインボーカルみたいになってる。
「スピカ」のドラムに関しては、そこまでメロディアスではないけれど。
このドラムの凄いところは、空中を泳ぐようなギターを横目に、フロアタムでめちゃくちゃ低音の8ビートを刻み始めるところ。
この曲のドラムの印象は、地面を這うようなフロアタムです。
これがあるから、草野さんの声質と幻想的なギターが生きるんですよね。
仮にここのリズム楽器が星の光みたいなライドシンバルだったなら、ただ空を見上げるだけの曲になってしまった。
ここにフロアタムを持ってくることで、地面の存在を強く意識させられる。
粉のように飛び出す
せつないときめきです
今だけは逃げないで
君を見つめてよう
って歌詞に表れているように、この曲は人を好きになる時のキラキラ感を描いた曲ですが、
そういう時って、決して空だけを飛んでいるわけではなくて。
むしろ、色々な悲しみに触れることも多くて、どうやっても地面からは逃れられないんだって思い知らされるんですよね。
このフロアタムには、そういう機微を感じます。
そして単純に、低音で暑苦しいから夏を感じさせる、という効果もある。
ちなみに、この曲のファンはかなり多く、YouTubeでもドラム動画を上げている人が多いのですが、誰一人完コピ出来ている人がいない魔の曲でもあります。
昔採譜したのですが、採譜は簡単でも叩くのは難しい。
特に、サビの「8分ライド+4分フットスプラッシュ」ね。ここ、ライブではやってなくて悲しい思いをしました。
あと、この曲は歌詞が神がかっています。
全編にわたって凄いのですが、
幸せは途切れながらも続くのです
はJ-POPの歴史に残る名フレーズです。
こんなに短く、かつインパクトを残せる言葉、他に中々無いんじゃないかな。