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夏の日に聴きたい曲(16) SPECIAL THANKS

GLAY「SPECIAL THANKS」

 

 

両A面シングルと銘打たれたCD、結局片方の扱いがB面説。

 

スピッツの「楓 / スピカ」は有名な例だし、

中島みゆきの「命の名前 / 糸」の片方は20年も経ってようやく知れ渡るし、

さだまさしの「道化師のソネット / HAPPY BIRTHDAY」の片方を知らない人もいるかもしれないけどもう片方はほとんど誰も知らないだろうし、

いちばん酷い例では、小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に / Oh Yeah!」なども。

 

この曲は、「とまどい / SPECIAL THANKS」としてリリースされた両A面シングルの片側です。

リリース当時、印象的なギターが夏の浜辺を思わせる「とまどい」ばかりラジオで流れていて、SPECIAL THANKSの注目度はとても低かったように記憶しています。

こちらも映画タイアップなんですけどね…

 

この曲は、夏の蜃気楼みたいなものを描いた曲です。

今はもう無い、記憶の中の夏。

 

夏の間って、暑苦しいし、何をするにも面倒だし。あまり良い気分ではない季節なのですけれど。

それでも、過去に感じた夏の手ざわりって、とても美しく感じるんですよね。

 

流れる汗をぬぐおうともせず 抱きしめ合った

真夏を駆ける肌の熱さよ さめぬままで

 

その暑苦しさでさえ、愛しいものに感じるのです。

 

過去の美しかった夏の記憶を、リアルな手触りを伴って思い出す。

そういうことってあると思うのです。

こんなに暑い季節って他にないから、夏そのものが記憶を呼び覚ますトリガーになる。

紅茶に浸したマドレーヌみたいに。

 

 

この曲の良さって、冷静さを装った中から漏れ出る強い感情だと思うのですけれど、

それはやっぱり、

Aメロ→Bメロを2回繰り返して、ようやく入るサビ前の転調。

ここに全てが詰まっています。一気に感情が溢れ出す場面。そこからの畳み掛けるサビ。

夏だからこその感情の発露ですよね。

だけど美しい曲。

 

この曲はMVもまた良いです。

貨物列車にGLAYのメンバーが次々と乗ってくるのですが、ちょっとやらかして気まずいJIROに缶ビールが投げられる場面に、彼らの友情の強さを感じてみたり。

大事に抱えていた壊れたギターを、最後に投げ捨てて新しい道へ進んだり。

夏の暑さも悪いものではないって思うんですよね。