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過ぎゆく季節を惜しむ曲(1) 夏の調べ

elliott「夏の調べ」(2006年)

 

 

9月に入ると、真夏の暑さは段々影を潜め、太陽もいつの間にか沈んでしまう。

学校では文化祭とか、そういう行事の準備が物凄いスピードで進んでいき、気づいたら北風が吹き始める。

そんな季節です。

ある日突然終わるのではなく、気づいたら消えてしまう。夏ってそういうイメージ。

 

「春を愛する人」とか「冬がはじまるよ」とか。

他の季節は始まりを意識する曲が多いのですが、この季節は、秋の始まりというよりも夏の終わりを感じることが多いのです。

 

そんな曲の中で、最初に思いつくのはこの曲。

elliottの「夏の調べ」。

 

知らない人も多いとは思うのですが、

elliottは過去、女優の松下由樹さんとお互いにマネジメント業務を協力し合っていたようです。

お互いがお互いのマネージャー的な。

松下由樹をマネージャーとして従える歌手でした。

 

この曲は、ほとんどピアノ弾き語りみたいな曲。あとは味付け程度のストリングス。

透き通るアルトと鍵盤、そして郷愁を誘う美しいメロディー。

こういう曲がすごく好きなんですよね。

 

「夏の調べ」というタイトルですが、夏ではなくて秋の曲です。

既に終わってしまったいつかの夏を思い返す曲。

過ぎ去ってしまった夏って、どうしてこんなに美しく残るんだろうね。

全編を通して、感情が溢れそうで溢れない、無理やり押しとどめているようなボーカルが効いています。

 

泣き出しそうな空の青ささえ ボクの中の青に勝てない

今も君が夏と生きる

 

あまり上手く言葉を扱えている歌詞ではないのですけれど、

確かに美しい情景。

君がいた夏、その暑さ青さは何よりも美しくて、そしてもう戻らない。

 

 

 

 この曲を初めて聴いたのは、

ちょうど新潟へ免許合宿に行っていた時でした。同じサークルの二人と一緒に。

青い空と田んぼの中を一日じゅう車で走り回り、おいしいお米を食べて、

そして夜中には集まって3時ごろまでマージャンをするという…滅茶苦茶に密度の濃い2週間。

遊んでばかりだったけれど、あの時間はとても強く記憶に残っていて。夏が来るたびに、あの広い空と夜中のマージャンのことを思い出します。

絶対に今はやらない時間の使い方だけれど。

だから思い出すんだろうな。

そんなんでも美しい思い出。