過ぎゆく季節を惜しむ曲(2) サヨナラCOLOR
SUPER BUTTER DOG「サヨナラCOLOR」(2001年)
SUPER BUTTER DOGといえばこの曲、というイメージですけれど、実は彼らはファンクバンドなのです。めっちゃ攻めたファンク。
特に、ひとつ前のアルバム「FUNKASY」は、
・「中華風ギター」と聞いて誰もが想像するよりも10倍くらい中華風なギターが特徴的な「FUNKYウーロン茶」
・攻撃的な演奏とボーカルで何故かThat's way I like itっぽい8分間の「エ⁉︎スネ毛」
など、カオス。
カオスだけど、何故かどの曲もポップなんですよね。
「サヨナラCOLOR」は、
過ぎゆく季節を惜しむだけじゃなくて先に進めばいいよ、
君はその先が見たいんでしょ、
という曲。
卒業式あたりに流すと美しい曲です。
その美しさのひとつの理由は、歌詞の「僕」が「君」を見る視線の純粋さだと思います。
君の思いの美しさを見たい、ただそれだけを願う強い気持ち、真っ直ぐな視線。
進むことも留まることも、どちらも間違いでは無いけれど。
自分が思うように進めばいいじゃんって。
迷った時に聴くと力をくれる曲だと思います。
この曲は、本当に奇跡的なバランスで成り立っている曲なんですよね。
声とメロディー回しを聴くと、もうこれって完全にハナレグミなんですよね。
※ハナレグミ…ボーカルの永積さんのソロプロジェクト。
だけどこの曲は、アレンジの影響なのか5人の世界観がそうさせているのか、完全にポップの地平に収まっています。
ハナレグミは芸術的な方向に振りすぎていてあまり好みではなかったのですけれど、
この曲は本当に美しい。
ハナレグミの美しさと、SUPER BUTTER DOGのポップさ。
その奇跡的なバランスが生んだ素晴らしい音楽です。
このSUPER BUTTER DOGのポップさを受け継いでいるのは、どちらかというとボーカルの永積さんよりもキーボードの池田貴文さんじゃないかなぁ。
今のレキシですね。
確かに、年貢 for youなんかを聴くと、どことなくサヨナラCOLORの美しさを感じるような…
というか、池田さんの変わらなさって凄すぎる。特に見た目。
サヨナラから始まることが
たくさんあるんだよ
という言葉の通り、
一人は独自の美しさを追求し、一人は夏フェスの大会場を端から端まで沸かせる。
こんなふうに自分で自分の言葉を信じている、それもまたこの曲の持つ力なのかもしれません。