秋の夜長を彩る曲(1) 星のかけらを探しに行こう again
福耳「星のかけらを探しにいこう again」
福耳は、今では参加アーティスト10人超えのイベント用お祭りユニットみたいになっているのですが、
1999年の結成当時はわずか3人でした。
メインボーカルの杏子さんと、コーラス要員のスガシカオと山崎まさよし。
コーラス要員が無駄に豪華。
この曲は、杏子さんのシングル「星のかけらを探しに行こう」をベースにしてリアレンジした曲です。
元の曲は、ドラムの音やホーン、ストリングスがよく立った都会的な曲でした。とても若々しい世界観。
どちらもきらきらとした光を感じる曲ですが、見える景色は全然違う。
元の曲が横浜の山下公園から見える夜景ならば、この曲は葉山の海岸で見る星空。
派手な煌びやかさは無いけれど、その向こうにある星空の明るさがよく見える。
そう、星がきれいに見える曲なんですよね。
ふたり 夏の星座をくぐり抜けて
って歌っているのですが、感じる空気は秋のもの。空気が澄んでいます。
それはシンプルで余白の多い音作りの賜物でもあるのですが、何よりも、3人の声の質によるものが大きいのです。
3人とも、声が凄まじくハスキーだから。
ジンというか、マティーニみたいな声なんですよね。
ドライな味わい。
余計な水分を全く感じない爽やかな秋風のようで、その世界に佇んでいたくなります。
過ごしやすくて、星を見るには最適な時期ですよね。
落ち着いた恋愛の曲のようで、その実、結構分かりやすくロマンチックな曲でもあります。
今宵 星のかけらを探しに行こう
舟はもう銀河に浮かんでる
杏子さんバージョンのほうは、どちらかというと、「あの輝く星を二人占めにしようよ」という感じ。空に浮かぶ光にもう少しで手が届きそうな。
そう、例えばお台場で乗る屋形船。水面に様々な光が浮かんで、銀河鉄道のよう。
againバージョンのほうは、昔掴んだけれど見えなくなってしまった星、擦り切れて小さくなってしまった星たちを、一つずつ大事に磨いて再び空へ返すような光景。
とても優しくて暖かい。
「星のかけらを探しに行こう again」というタイトルもまた良いです。
いつでも、何度でも、星を見つけることは出来るのです。