【各種ソートへのリンク】

プラソートはこちら。(「十色定理」まで更新済)

People In The Boxソートはこちら。(「Tabula Rasa」まで更新済)





秋の夜長を彩る曲(10) LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜

サザンオールスターズ「LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜」

 

 

連れて歩けない 役柄はいつも他人

 

この曲は疑う余地も無く不倫の曲なのですけれど、

それでも、曲全体に漂うきらきらした空気は凄まじいものがあります。

横浜の夜景のせいなのか、

それとも不倫という非日常がそうさせるのかは分かりませんけれど、

サザンの曲の中で最も明度の高い、眩しいほどの輝きを放つ曲です。

 

この曲に出てくる場所は、全て横浜のみなとみらい地区周辺にある名所です。

夜景が美しくて、神奈川県民にとっては理想のデートコースだったりします。

一度はやってみたかったのですけれど、お酒が飲めない時点で全く無理です。

 

船上レストランで夕食をとり、

大黒埠頭付近で外に出れば煌くベイブリッジ

そして山下公園に戻り、みなとみらいの夜景を眺めながら夜風を感じて、横浜にある最古のホテルのバーへ。

 

ベタというか、むしろ完璧すぎる。

理想のデートプランなるものは、昭和のトレンディドラマで既に完成されていたのでしょう。

 

この曲を聴くたびに、早く大人になって理想のデートプランをやってみたい、と思っていました。

大人の中にも、それが出来る人と出来ない人が両方いるということを後になって知りました。

 

 

サザンオールスターズってだいぶ息の長いバンドですけれど、この頃が音楽的に絶頂期だったんじゃないかな。

楽器隊の音がとにかく素晴らしい。

この曲で特筆すべきは大森さんのギター。この音が夜に輝く街をイメージさせるんですよね。

甘さと深さが両立している。

特に、Bメロ部分でのリフが凄く好きです。

 

原由子さんのキーボードは相変わらず素晴らしい。優しい波みたいに揺らぎます。

この曲の中では、この揺らぎが二人の高揚感を描いているようで、聴いているだけで楽しくなれます。

そして何より、この曲のコーラスでは原由子感が完全に抑えられている。

この人の声って、午後から夕方にかけての沈みゆく太陽みたいな感じ。他の曲では主張が強いのですが、この曲ではキーボードと絡み合って、ムーディーな空気を纏っています。

 

個性の強い人たちが集まったバンドですが、この頃の曲は、どちらかと言うと全員で作品の方を向いている感じ。

全員で突き通して到達した世界、そんな感覚を受ける曲です。

 

だけどやっぱり、この曲は桑田さんじゃないと歌えないんですよね。

あの声と歌唱力で歌われると、世界観の説得力が凄い。

 

結局、何だかんだでサザンの顔は桑田さんだという事実に改めて気づきます。

バンド全員の力で、桑田さんの好きなことを全力で実現させる。そんなバンドなのでしょう。