秋の夜長を彩る曲(11) 能動的三分間
東京事変「能動的三分間」
能動的三分間というタイトル通り、本当に3分ぴったりで終わる曲。
MVはカウントが入っている都合上、3秒ほど長いのですけれど。
だから、カップラーメンを作るときにはこの曲をタイマーがわりにすると幸せな気分になれます。
音楽をカップラーメンに例えて、そこからイメージがどんどん派生していく曲です。
サウンドも含めて、めちゃくちゃに自由。
カップラーメンって、棚を漁ってお湯を注げばすぐに出来る。
このインスタント感。
Hit! 格付のイノチは短い
という歌詞は、サブスク化し、リストから取り出せばいつでもインスタントに聴くことが出来る音楽に対しての皮肉なのですが、
ここで、
才能開花した君は
ヒッチハイクの巧いベテランペーパードライバー
という言葉が出てくるのが最高にキレキレ。
インスタント化した音楽を作る、インスタント化した才能。
能動的三分間とは言っても、アグレッシブすぎる気がします。
これと対比する歌詞が
Rock! 音楽のキキメは長い
なのですが、
「才能」と「音楽」を対比概念にしているのが面白いです。
売れ筋のカップラーメン新製品は品質が高くてもすぐに廃れてしまうけれど、
人にまた食べたいって思わせるやつは、長い間美味しさに浸っていられる。
みたいな。
その差は何なのでしょう。
開発者のカップラーメンに対する愛情だろうか。
この曲はジャズの香りを感じるダンスミュージック。
リズム楽器は、本来打ち込みでやるべき変態リズムを全手動で演奏していて、一種の狂気を感じます。
特に亀田誠治さんのベース。
とてもかっこいい。
『三分間でさようならはじめまして』あたりのグルーヴ感と、
『格付のイノチは短い』直後の情感たっぷりの演奏。
これが一曲の中に共存できるのは、さすが亀田さん、という感じ。
あと、何よりも浮雲さんのコーラス。
私はこの人のコーラスが好きなので、ツインボーカルみたいになっているこの曲は素晴らしいのです。
本当に、3分間で目まぐるしく移り変わる夢みたいな曲です。
イメージがどんどん流れていって、その中では本当に自由に動いていられる。
自由というと、
このMVの中では椎名林檎が時間を超えて動き回っているのですけれど、
何故かキーボードの伊澤さんだけ直接的に被害を受けてて気になります。
他の人は普通の扱いなのに。
自由にしても、自由すぎますね。