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雨の日に聴きたい曲(9) どなる、でんわ、どしゃぶり

チャットモンチー「どなる、でんわ、どしゃぶり」

 

 

轟音と女性ボーカルの曲、その2。

見えないけれど鳴っている雨の音。

 

雨は世界を閉じるものだから、二人の距離感はそのまま二人の物理的な距離に表れます。

同じ傘に入ることが出来る二人、傘がぶつかるくらいの距離の二人、傘が離れて声も聞こえない二人。

 

この曲で描かれる二人は、そもそも雨という場面さえ共有していない。

どなる電話の先に

どしゃぶりの雨の音

自分の町にも雨が降っていたら、電話の向こうから聞こえる前に窓の外から聞こえるのに。

どなる電話の先にお笑いのTVの音

物理的な距離と、心理的な距離。

こんな電話の中でお前何見てるんだ、と。

 

二人を繋ぐものが無くなった瞬間。

そんな場面。

 

 

チャットモンチーの音楽の中でも、高橋さんのドラムが凄く好きだったんですよね。

彼女のドラムテクニックは相当なものだけど、作品にとってあるべき姿のドラムだけを叩こうとしている、そんな姿勢が。

例えば、4つ打ちロックなんて食傷気味だった00年代の「シャングリラ」。またそのドラムか、となりかねないところだけど。

よくよく聴いてみると、この曲はこのドラム以外では成り立たないんじゃないか。

強い土台のバスドラと、跳ねるリズム。

高橋さんのドラムは、作品をあるべき姿に着地させる。

 

 

少し脱線してしまったけれど、

「どなる、でんわ、どしゃぶり」のドラムはとても映像的で素晴らしいです。

雨が降りしきるドラム。

 

自分の心情をばーっと吐露するボーカルパートでは、あぁ、雨が降ってるな、くらいの存在感ですが、

2サビ後の間奏、言いたいことを言い終えて一息つく場面で突如として大きくなる土砂降りの音。

どれだけ周りが見えなくなっていたかを、背景の音で浮き立たせる。

簡単に歌詞で描いてしまうよりも、より強く、心に残る描き方です。とても映画的。

 

メジャーデビュー一枚目のアルバムでこんなことが出来るなんて、やはりこの3人は凄い人たちだと思うわけです。