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クリスマスの街を彩る曲(10) 雪が降る町

ユニコーン「雪が降る町」

 

 

ユニコーン後期の名曲ですね。

奥田民生が段々とソロ活動に軸足を移し始めた頃の曲。

曲中では一度も「クリスマス」という言葉を使っていないのですけれど、これは明らかにクリスマスを描いた曲です。

クリスマスを描いてはいるけれど、別にクリスマスを歌った曲ではない。

その辺りの適当さが、とても奥田民生っぽいんですよね。

 

ちなみに、この曲には、ベルの音を足してクリスマス感を強めた「雪が降る町 "more bell mix」というバージョンもあります。

ちょっとしつこいくらいに鈴が鳴っていて面白い。世間一般のクリスマスソングに対するシニカルな視線を感じます。

 

 

だからキライだよ

こんな日に出かけるの

人がやたら歩いてて 用もないのに

年末近くの特定の日。

そして、

 

たまには二人で じゃま者なしで

少し話して のんびりして

二人で過ごす時間。

 

明らかにクリスマスデートなのに、乗り気ではないように見える人。

彼女に引っ張られて町に出かける様子がありありと浮かびます。

微笑ましい光景だし、そして、ナチュラルにモテる人。という感じ。

この辺りの自然体でも愛されるオーラが奥田民生の魅力じゃないかな。

 

見慣れた町に

白い雪が積もる積もる

ホワイトクリスマスなんていうムードある美しい日なのに、

ただ空を見上げて雪が降るのを眺めている。

イントロから分かるように、周りはクリスマス一色なのに。

中々こんなことは出来ませんよね。

他のことが気になりすぎて。

 

この外界に流されないナチュラルさ、

そしてフラットに世界を見据えてスケッチする力。

これは他には無い能力だと思うんですよね。

 

世間はクリスマス一色だけれど、

その外の世界は変わらずに美しい。

そんなことを感じる曲です。

 

 

そんなふうに、ほとんど奥田民生に目がいってしまうのですけれど、

地味にドラムも良い仕事をしています。

キーボードやギターは完全にクリスマスの町そのものですけれど、

ドラムのライドシンバルはずーっと4分で打たれていて、これだけが降り頻る雪を映像的に映し取っています。

これがあるから、雪が降る町の美しさが見えるんでしょうね。

地味だけれど楽曲の世界に誘ってくれる、良いドラムです。

 

クリスマスを外から見るからこそ、景色の美しさが映える。

そんな、視点の違うクリスマスソング。

こういうのも良いですね。