クリスマスの街を彩る曲(5) Everything
misia「Everything」
浜崎あゆみの「M」と同様、これも展開がドラマティックな曲です。
こちらの方がより振り幅が大きくて、様々な表情を見せる曲ではありますけれど。
この曲で最もインパクトが強いのは、やはりサビの
You're everything
ですよね。
misiaの声の世界観に浸ってしまうので、気にせずにさらっと聞き流してしまうけれど。よく考えてみれば凄い歌詞。
「私の生きる意味の全て」でも「私が欲しいものの全て」でもなくて、世界と等価だっていってるんですよね。
凄く強いメッセージ。
この曲は、このメッセージをいかに強く伝えるのか、それを強烈に意識した構成になっています。
1A部分については、
ピアノ+ボーカル→ バンドセット+ボーカル
と変化します。
ベース優位の編曲で、足下を見ながら歩くような感覚になっています。
そこから段々とボーカルのエネルギーが増していき、それとともにストリングスの存在感も強くなり、
間奏以降はボーカル、ストリングス、ドラムのスリーピースみたいになっています。
ストリングスの華やかさ、ほとんどハイハットとスネアだけのきらきらした雪みたいなドラム、そして何よりmisiaの力強いながらも優しい声。
音の重心が高くなるから一気に空に浮かぶような心地よさを覚えるし、まるで夢の中にいるみたいな非現実的な美しささえ感じます。
この曲は、misiaのブラックミュージック的な歌唱、クラシックみたいな美しい景色、歌謡曲的なメロディーの美しさ、それが渾然一体となっています。
それまでのmisiaの曲よりも格段に聴きやすくなっており、J-pop的な良さと音楽的な美しさが高いレベルで同時に存在している。
凄い曲であると同時に、やはりこの曲はmisia以外には歌えないように感じます。
音域の広さを除いては、そこまで難しい曲ではないのですけれど。
ただ、美しい曲であるが故に、普通のボーカリストが歌うと曲に負けてしまう状態になってしまうんですよね。声が埋没してしまうというか。
ストリングスとの絶妙な絡み合いを見ても、やはり、これはmisiaに歌ってもらうために生まれてきた曲。全てが完璧に絡み合って、この上なく美しい作品に仕上がっているのです。