クリスマスの街を彩る曲(11) Can't Stop Fallin' in Love
globe「Can't Stop Fallin' in Love」
1990年代の冬を代表するCMといえば、広瀬香美を起用したアルペンと、時代そのものみたいなアーティストを起用するJR ski ski。
2010年代ではセカオワとかback numberが起用されていて、変わらないことの凄さを見せつけていました。セカオワのCMは好きだった。
90年代のJR ski skiといえば、同じglobeの「DEPERTURES」が有名ですが、私が好きなのは圧倒的にこっちでした。
どうしようもない不倫の曲。
不倫の曲というと、同時期のサザン「LOVE AFFAIR」が思い浮かびますが、あっちは夢の中にいる世界の輝きを描いた曲。
この曲は、明らかに未来がないことは分かっているし、一緒に居て幸せですらないのだけど、でも惹かれずにはいられない、ある意味で麻薬みたいな関係を描いたものです。
どちらも真実なのでしょう。
この暗い世界観がすごく好きです。
まさか小室哲哉がこんなにムードに溢れたエモーショナルな歌詞を書くとは。
たまに発生する、小室さんの本気を注ぎ込んだ歌詞です。
曲の中身も、とてもエモーショナル。
特に凄いのはドラムです。
このドラムが、背景にずーっと雪を降らせている。
ハイハットもスネアも、どこか雪を踏みしめる、もしくは降り積もるような冷たくて乾いた音で、目立つけれども背景を描くことに終始している。
音作りといい思想といい、完全にドラマーではなくシンセサイザー奏者のドラムなんですよね。
音のベースではなくて、世界の背景。
こういうことが出来るのも小室さんの凄さでした。
鈴とかハンドベルみたいな楽器じゃなくて、譜面で真冬を表現する力。
こんなに感情に溢れた曲には、やはりKeikoさんの声質がよく似合います。感情を絞り出すような声。
これが例えばtrfのYU-KIさんみたいな喜びに溢れた歌声だったり、安室奈美恵みたいな包容力のある声だと全然別物になるでしょう。
必要な楽曲を、必要な人に歌わせることが出来る。それもまた小室プロデュースの凄みですね。
暗さと寒さに覆われている、それもまた冬のひとつの姿。
楽しいことばかりではない、そんな関係もありますよね。そんなクリスマスソング。