クリスマスの街を彩る曲(13) エンドロールには早すぎる
スピッツ「エンドロールには早すぎる」
2020年12月13日のテレビ朝日「関ジャム」にて、『意外なアーティストのクリスマスソング』というのをやっていたので、それに少し乗っかってみます。
なので、今回の曲はクリスマスの街で流れるような曲ではありません。
隠れたクリスマスソング。
ラストクリスマスもそうだし、B'zの「いつかのメリークリスマス」もそう。何ならJ-POPでいちばん有名なクリスマスソングもですが、
日本で売れるクリスマスソングって、何故か寂しい曲が多い。
一緒に過ごす人が居る人はそもそも音楽なんて聴かないよ、ってことでしょうかね。
この曲も似た系列のクリスマスソングです。
映画でいうなら 最後の場面
終わりたくないよ スローにして
って、いきなり別れを目前にした場面からスタートします。
この曲は、別れを目前にしてようやく相手の存在の大切さが分かった、という曲。
イルミネーションがにじんでく
世界の果てはここにある
日本のクリスマスソングでは、イルミネーションは自分の外側にあるものとして描かれることが多いですよね。
華やかな街の賑やかさの中には入ることが出来ない。
明るい曲調に隠されていますが、
かなり切実な曲なんですよね。
スピッツにしては珍しくストレートな歌詞もそれに拍車をかける。客観的に自分を飾る余裕さえもないように見えるのです。
この80年代ディスコサウンドみたいな4つ打ちリズムは、敢えて踊り出せそうなサウンドにしたのかな。
まだ元通りになれることを諦めていないというか、それを疑っていないというか。
1Bの『こんな当たり前が大事だってことに』が、
3Bでは『あんな当たり前が大事だってことに』に変化している時点でだいたいお察しなのですけれど、最終的に、
君のくしゃみが聞きたいよ
意外なオチに賭けている
という可愛げな草野節で終わるところに、ちょっとした狂気を感じるような。
寂しいながらも、当然のように楽しい日々が戻ってくることを疑っていない。
それがこのディスコサウンドに表れているような。
スピッツにはたまにあるけれど、何か怖い曲。
この曲のイントロとアウトロの4小節目には、ちょっとしたベルみたいな音が入っていて。
それがひっそりとクリスマス感を演出しているのですけれど。
こんな怖い曲、クリスマスの街には流せないですよね。