夏の日に聴きたい曲(10) 青い栞
Galileo Galilei「青い栞」(2011年)
夏休みの終わりにふさわしい曲を。
この曲は、TVアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のOPテーマでした。
映像が見つからなかったのでここには貼りませんでしたが、音楽と映像の雰囲気がぴったり合った、素晴らしいオープニングです。
使い捨ての自転車
の部分が本当に好き。
真っ只中にいてまだ時間は残っているけれど、心の片隅ではいつか終わってしまうことを怖がっている。そんな曲です。
美しい夏の景色を描いた曲ですが、アニメの雰囲気も相まって、終わりを強く意識する曲となっています。
押し花の栞挟んで
君と転がす使い捨ての自転車
使い捨ての自転車って凄い。それが本当に自転車なら、どれだけのセレブなんだ。
これはほとんど概念みたいな歌詞で、
自転車って、ある程度遠くまで行くためのもの。さすがに100kmとかは、あんまり乗らない。
使い捨てだから、向こうまで乗って行って、散々遊んで、帰り道にはもう使えない。
これは片道切符。君との時間は片道切符で、しかも、ある程度遠くまでしか行けない。
そこから先はどうなるのだろう。
「栞」っていうのは挟めば再びそこから始められるセーブデータであり、
自転車を押すような何でもない時間に対してそれを挟むのは、それが大切なものだと分かっているから。
なぜ大切か、それはもう戻れないからだよね。
こわいくらいに青い空を
遊び疲れた僕らは
きっと思い出すこともない
大切だったセーブデータも、使われることはなく終わってしまう。
「どうかまた会えますように」
なんて
どうかしてるみたい
この曲の歌詞は本当によく出来ています。
描写の巧みさ、すべてを有機的に繋げる語りの技術、そしてコピーライターみたいに極限まで研いだインパクト抜群の言葉。
この歌詞を解説し始めると3000文字くらいは平気で行ってしまいそうなので、それはまた別の機会に。
この曲の良さは、歌詞が半分、イントロの美しさが半分。
と言っても過言ではありません。
曲の世界へ引き込む手段として、イントロが本当によく出来ています。
ギターもベースもドラムも、やってるのは単純なリフ。16小節でこれを8回繰り返しているだけですが、
ここだけで、夏の景色、長いけれどそのうち終わってしまう夏休み、夏が無くなることへの恐れ、そういったものを描いているような。
単純だからこそ、何も考えずに遊ぶことが出来た夏休みの映像が浮かぶのでしょうね。
あの花のオープニングから入り、
フル尺を聴いて女声ボーカルがいることに驚き、
メンバーに女性がいるんだと思って調べると男性スリーピースバンドで、女性がやっぱり居なかったことにまた驚く。
そんな流れが多そうです。
※女声ボーカルはゲストのchimaさんという方だそうです。