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12/16(日) mol-74 「Teenager」 Release Tour @東京ヒューリックホール

mol-74のEP「Teenager」リリースツアーに行きました。
場所は東京ヒューリックホール。有楽町にある映画館の上にあり、映画館の1スクリーンを丸ごとホールとして使っているという風情。
最前列ブロックである10列目に居たので詳しい作りは分かりませんでしたが、おそらく、どの席からもステージはよく見えると思います。
座席ありのホールですが、ドリンク代はかかるので注意。でも500円って、このご時世で随分と頑張ってる気がする。

彼らのライブに初めて行ったのは去年の11月、プラネタリウムでのアコースティック。
通常のバンド編成で彼らの音を聴いたのは今年の1月が最初。佐藤千亜妃さんを迎えたイベント「v」で、まさにメジャーデビューを発表したライブでした。
それ以降、多分、片手で足りるくらいしか体験していない彼らの音楽ですが、もう、自分の構成要素の一つといってもいいくらいに精神へ馴染んでいると思うのです。

彼らの音楽が好き、って一言で言うのは簡単だけど。
何で好きなのかを説明するのは難しい。
優しい音がするから、とか、描く風景が美しいから、とか色々言えるのだけど。
一番は、彼らの感性が素直だから、なのかも。
彼らの見た美しい世界が、そのまま音楽として形をとっている。
その視線が好きだから、なのでしょう。



ライブ1曲目は「Couverture」。
最もmol-74の印象そのままであるこの曲。
聴いてどのような印象を持つでしょうか。多分、人によって全然違う情景を想像するような気がします。
私にとっては、
歌詞に直接的に書かれた言葉ほどには冷たさを感じないんですよね。
光を反射する水の流れのように、透き通った鍵盤の音。それがそうさせるのでしょうか。少なくとも、彼らの未来は闇に閉ざされてはいない。

クーベルチュールは製菓用のチョコレートであって、溶けて冷めることを宿命づけられている。
でもそれって、他者と混ざり合って新しい世界を作りあげるためで。
変わらなければ、何も残すことはできない。

この優しい曲には、未来に残すべき新しい姿が見えるんですよね。



EPの中から次に演奏されたのは「Playback」。
リズム隊が大活躍の曲です。
この曲のイメージは、
地面をくるくる回る楽器隊の演奏と、空に手を伸ばすけれども届かないメロディー。

自分が生きるこの世界って箱は息苦しいほどに狭い。
そこから走って、逃げて、ジャンプして、
それでも向こうに見える天井には手が届かない。
そんな苦しさを感じる曲です。

感情の結晶みたいなものに触れることができる曲。
4曲の中で、いちばん好きです。


次は「約束」。
何だろう、この曲を聴くたびに「どこかmoumoonっぽい」って思うのだけど。
こんな曲あっただろうか。
それとも、音色がなのかは分からないけれど。
何がそう思わせるのでしょうか。

この曲もmol-74のど真ん中って言ってもよい曲だと思います。
冬の朝に誰もいない海を眺めるような曲。



アンコール前、最後の曲は「Teenager」。
初めて触れた時と比べて、最も印象が変わった曲です。
最初はあまり良い印象の曲ではなかった。彼らの音楽に求めていたのが、こういう種類のキャッチーさではなかったからなのかも。

でも、それは上滑りする軽さではなくて。彼らの内面から出てくる感情だった。

『思い殺して 思い残して
思うようにならなかった鈍い後悔は
予想以上に、想像以上に取り返せないんだ
だからほら走り出せ だからほら今、心が叫ぶ方へ』

って歌詞。
その言葉を信じていない人が歌ったら量産型のJ-Popにしかならないけれど。

彼らはアンコールのMCで言っていた。
「これからも新しいことに挑戦していくけれど、
 一つだけ約束できることは、
 自分たちがやりたくない音楽は絶対にやらない」
って。

「Teenager」の歌詞は、多分そのまま、
メジャーデビューをして新しい世界に飛び込んだ彼らへ向けたもの。

自分を信じている、だからこそ力を感じる。
多分、彼らのことを好きな理由は、自分の価値観を疑っていなくて、
自信を持って好きなものを好きだって言える純粋さなのかなと。
この曲を聴いて思いました。



そういえば。MCで、自分たちに夏は似合わないみたいなことを言っていたけれど。
「Teenager」には夏の香りを感じるのです。
夏休みの登校日みたいな風景を感じる曲。
その辺りも多分、今までの彼らからは出てこなかった部分で。
だから最初は、見慣れない風景に戸惑ったのかもしれない。


美しいライブでした。


今回のセットリストで最も印象に残ったのは、
hazel → 約束 → 瞼 → 赤い頬 → アンチドート
という真冬の雪景色からの、開花、ノーベルという春の風景。
冬はやっぱり、春が来るからこそ美しいのだと思わされます。

ノーベルは本当に美しい曲。
春を待つつぼみが、ある瞬間に一斉に花開く光景。ライブで見ると、目の前に実感を伴って広がってくるのです。


mol-74「ノーベル」MUSIC VIDEO(1st full album「mol-74」2019.04.03 on sale)



- Set List -

01.Couverture
02.グレイッシュ
03.エイプリル
04.あいことば
05.プラスチックワード
06.Playback
07.hazel
08.約束
09.瞼
10.赤い頬
11.アンチドート
12.pinhole
13.開花
14.ノーベル
15.%
16.Teenager

Encore. Saisei