夏の夜に聴きたい曲(13) LOVE BRACE
J-POP史上で最高のアルバムは華原朋美の「LOVE BRACE」だと思っています。今でも。
小室哲哉関係のアルバムって、手抜き曲が多かったり謎リミックスのシングル曲が目立ったりであんまり好きではないのですけれど。
このアルバムは別格です。
その中のリード曲。
あの頃公然に付き合っていた二人の、お互いを見つめる視線。それが楽曲にもパフォーマンスにも現れていて、とにかく光量が凄いアルバムです。
全曲にわたってそれだから、幸せ感が凄い。
自分たちの感情を素直に吐露するラブソング。それは確かに凄いに違いないけれど、誰もやろうとはしないよね。
しがらみが色々と多すぎて。
だからこそこのアルバムは、コンセプトアルバムとしてJ-POPの金字塔的作品になっているのではないかと思います。
ボーカリストとしての華原朋美は、確かに力は凄いけれど癖が強い。
ハマれば凄いものが出来るけれど、それを引き出すのって結構難しいように見えた。
正直なところ、それをうまく引き出せたのは、後に先にも小室哲哉だけだったのではないか…
この「LOVE BRACE」は、小室哲哉が華原朋美に送った数百万円のアクセサリーでした。
それを見つめる曲。
めっちゃ地味な曲です。
シングル曲の「I'm proud」とか「I believe」のような、人を好きになる明るいわくわく感を押し出した曲とは違って、
夜中に燃えるキャンドルの光みたいな薄い光。
夜じゅうそっと あなたの寝顔見ていた
世界じゅう誰にも知られずに見ていた
どちらかというとそれは安心感みたいなもので、
むしろ、そういう淡い光が幸せってやつなのかもしれないよね。
世界じゅう、それだけあればいいやって。
決して長続きする関係ではなかったけれど、
二人の時間の美しさはこんなふうに作品として永久に残る。