夏の夜に聴きたい曲(17) メモリーズ・カスタム
シングル曲「メモリーズ」をアレンジし直して、スピッツらしからぬロックに仕上がった作品。
原曲は鍵盤が印象的で綺麗な曲ですが、
カスタムはドラムが前面に出てきます。
崎山さんは凄まじい実力の持ち主ながら、「スピッツには合わない」という考えからあまり派手なドラムを叩いてこなかったのですが、
この曲ではその凄さの一端を垣間見ることが出来ます。
端正な音の崎山さんが叩くハードロック。
ドラム好きにはたまらない曲…
特に、Cメロ部分の高速タム回しは、何をやってるのか音を聞いてもさっぱり分からないレベル。
こういうぶっ飛んだ曲も平気で出来るのが、スピッツの凄さです。
ライブで聴くと、また音の迫力が凄いのだけど。
よくよく考えてみると、楽器隊が爆音を鳴らしている中、あの歌い方で存在感が薄れない草野さんって何者なのだ。
計り知れないバンドです。
この曲は歌詞も好きです。
不自然なくらいに幼稚で切ない 嘘半分のメモリーズ
引っ張り出したらいつもカビ臭い 大丈夫かな? メモリーズ
爆音の中で歌われる、こんな繊細な歌詞。
引っ張り出しては眺める記憶って、何か凄く分かる。でも古いからカビがはえてそうなのだ。
この曲が入ったアルバム「ハヤブサ」は、
こんなロックナンバーあり、
エレクトロな曲あり、
草野さん以外のメンバーが作った曲あり(男臭いロックで好きでした)、
狭い世界から解放された新しいスピッツが溢れた良いアルバム。
スピッツのひとつの転機でした。