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過ぎゆく季節を惜しむ曲(7) さよなら夏の日

山下達郎「さよなら夏の日」(1991年)

 

 

山下達郎です。

近年は曲提供が多く、完全に80年代以前の人というイメージですけれど。90年代にもアルバムをリリースしていました。

 

好きな曲だから紹介しているけれど、正直なところ、この曲の魅力を言葉で伝えきることって難しい。

音楽的な解説も出来ないし。

ただ、この曲を聴いて感じるのは、大人になることで失ったものの大きさ。

ノスタルジックな曲だけど、「いつかの夏」を思い出しているのではなく、「今、まさに終わろうとしている夏」を惜しむ曲です。

当たり前にそこにあるものが手の中から滑り落ちていくことの寂しさ。

 

夏が終わるきっかけが夕立というのがまた凄い。

この曲は、明確に夏が終わった瞬間を見ているんですよね。

 

雨に濡れながら

僕らは大人になっていくよ

 

ここで言う雨とは夕立。つまり、地面を叩く豪雨です。

雨に濡れるっていうのは、必ずしも友好的ではない周囲の社会から叩きつけられる様々な力。

無垢だったこども時代との別れは、そのようなどうしようもない世界に引き裂かれる形でやってくるんですよね。

人は大人になるのではなく、こどもであることを辞める。そういうことなのかも。

 

そして多分、一度失った夏の日は、もう帰っては来ないのです。